IPO分析_株式会社パデコ

第1回は、2018/5/25に上場承認された株式会社パデコの1の部の内容を見ていきます。

個人的な見解をまとめたもので投資勧誘や投資の参考にするために記載したものではありません。

投資を行う際には目論見書等を各自ご確認を頂き、ご判断をいただければと存じます。

■業績

          (百万円)
項目 N-4 N-3 N-2 N-1(連結) N期(連結)
売上 3,334 3,526 4,625 4,925 5,332
原価 3,814 4,052 4,384
粗利 811 873 948
営業利益 213 178 216
経常利益 63 21 118 120 188
純利益 36 13 70 56 102

※N-1より連結財務諸表作成のため、連結ベースの数値を記載

   

 

■調達概要

想定時価:16億円

想定調達価格(手取):3億80千万円

 

■ビジネスモデル

主として政府開発援助(ODA)による開発途上国の公共事業(運輸・交通・水道・観光等)にかかわるコンサルティング

政府援助機関(JICA)等から受注→途上国政府機関へのコンサルティング

政府援助機関(JICA)が融資している途上国政府機関から受注→途上国政府機関へのコンサルティング

 

■強み

過去の実績(政府機関からの受注であるため、過去の実績が多くないと受注が難しいのかもしれない。)

コンサルティングを行うコンサルタントのネットワーク

 

■弱み

海外のコンサルタントへの発注のため為替リスク大きい

特定取引先からの受注(JICA、アジア開発銀行)が大きいため、方針転換・瑕疵担保責任を負う事故やその他重大な人身事故・設備事故が起こった場合の失注による業績への影響

 

■財務諸表から見る会社の特徴

コンサルタントの単価の上昇による粗利・営業利益への影響が大きいと思われる。

原価のうち、大半がコンサルタントへの外注費、おそらく現地への移動交通費が原価の大半を占めている。よって、ここの上昇が利益に与える影響は大きい。

債権の回転期間が3.8ヶ月である一方で、業務未払金の回転期間は2.1ヶ月のため運転資金のための借入金は継続する傾向にある。

政府系を得意先とするため、債権の貸倒リスクは低い。

外注費の6割が外貨建取引であるため為替変動リスクによる経常利益へのインパクトが大きい

 

■雑感 

①市場の成長可能性はある

経済産業省のレポートに基づくと「途上国の経済成長や都市化等に伴い、世界的に電力・運輸をはじめとするインフラの需要が建設・維持補修ともに高まっている。特に電力インフラに関しての需要は高く、世界銀行によれば2014年~2020年の間に3200億ドルの投資が必要であると予測されている。インフラは維持補修に関しても多額の投資が必要となっており、世界的に大きな市場となりつつある。」とあり、市場の状況としては当面安定成長が見込めて引き合いもあるのではないか。

第3節 世界的なインフラ需要の拡大:通商白書2016年版(METI/経済産業省)

②売上および利益は少しずつの成長が見込まれるのではないか。一気に爆発するモデルではないかも

③過去の実績があるため、一定の売上は確保できるが、大和総研三菱UFJリサーチコンサルティング、デロイトのコンサル部隊もODA事業を行っており、大手との競争に負けるリスクもある。

④外注に頼っているので内製よりも利益率は小さくなる傾向にあり、実際に利益率は小さいため今後もこの傾向は続くと考えられる

⑤リソースの確保ができない場合・外注単価の上昇がある場合には利益に与えるインパクトが大きい

⑥受注損失引当金の金額が大きくないため赤字案件は少ないと思慮されるため、案件毎の利益は一定程度確保するようにコントロールしているように見える。